自分への還暦祝い
先日自宅近くの知り合いの酒屋さんから教えて頂いた濁り酒というかほとんどドブロクといえるものが素晴らしく美味しかった。まだ米粒が残っている液体の素朴で力強い旨さよ。1升ビンで買ったのだがこれを一人で飲んでは体に悪いのではないか思い、居合の知り合いにおすそ分けした。そしてそれを今になって悔やんでいるという馬鹿さ加減。悔やむ方がよほど身体に悪い。ああ~しまった…
思えば寒さ厳しいこの季節こそが日本酒好きにとっては最高の季節であろう。肴は美味いし、ヌル燗よし、少し熱くしてもまたよし。最初に少しだけビールを頂くのもひんやりとしてお酒がより美味しくなる相乗効果と言える。小津安二郎の映画で笠智衆が居酒屋で飲んでいる姿を思い出しながら、あるいは太田和彦の名文を噛みしめながら頂く酒の素晴らしさ。
今日は仕事帰りにほろ酔い程度の一杯を楽しんで、帰りに冒頭の酒屋さんの前を通ったらご主人が座っていたので立ち寄ってみた。「この間のお酒、絶品でしたよ。有難うございました。」とお礼の言葉を言ったら、ニッコリと笑ってうなづいてくれた。しばらくお酒談義。残念ながらもう完売してしまってもう一本どうしようかとほんの少し迷っていたのがスッキリした。また来春の楽しみである。
去年までは仕事が終わって家で飲んでいたのが帰りに一杯というたまの楽しさが加わった。新地で高い酒を飲むわけではないし煙草は吸わないのだから、小遣いの範囲で賄えるささやかな贅沢である。適度な仕事とほろ酔い加減のいい時間そして気持ちのいい人たちとの時折の心の触れ合い…曲りなりにも還暦まで働いてきた自分へのほんの少しのお祝いと思うことにしよう。





















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